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鰻丼ナ [日記]

普通の女の子になりたかった。

それらしいことは何ひとつ許されなかった。
スカートをはくこと、自分を「私」と呼ぶこと、マンガを読むこと、ませたアニメを見ること。
担任が男性教諭だっただけで、親は不機嫌になった。
一人目だから男の子を期待されて、よくお腹を蹴るから男の子だろうと思われて、出てきてみたら女の子だった自分は、「男の子」に寄るべく育てられた。そんなことしても意味はないのに。

触れないでいるうちに好きでなくなったのか、好きでいると苦しいだけだから自力で軌道を変えたのかはわからないけど、結果的に女の子らしいものに興味がなくなった。
男の子みたい、とよく言われた。
多分それだけでそれなりに個性はあったんやけど、名字も名前も変わっていて、さらに「こんなんじゃ平凡な人間で終わってしまう!」と危惧して突然ひょうきん度をアップさせたこともあり、外では無駄に独創的な子だった(と思う)。

もう少し大きくなると、反動がやってきた。
しゃしゃり出て痛々しさに後ろ指さされて傷付くだけなんて、うんざりしてしまった。
元々特別なオンリーワン、も大変結構だが、自分は「普通」に憧れた。群衆に埋もれたくなった。でも、思春期もとうに過ぎ、方向転換するにはちょっと手遅れだった。

それなりに自分のままで振る舞い、とくに作り笑いとかしなくてよかったし、さほどしんどい生き方はしていなかった。
でも「普通でいられない」ということは、時々心を押しつぶした。
スペックが普通でないので、当然、普通通るような甘酸っぱい女子ライフになど程遠かった。結婚して子供を産んで、という、割とありふれた願いももう一生叶わないかもと、だいぶ長いこと半分腹をくくっていた。
それでも転機が訪れて、その両方を経験できて、やっと少し普通になれたかも、それも自分のままで!と、ちまちま幸せを噛み締めていたところへ、暗雲はやってきた。

どこまでも普通でいられない自分が、ただただ不びん。
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